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学名:千島笹(チシマザサ)
――タケノコとして知られ、春の山菜として食用に親しまれている。
根曲がり“タケ”と愛称がついているが稈鞘(カンサヤ・竹皮)をつけたまま成長するためササの仲間に分類される。
ササの中では大型で草丈は約2~3m。
竹細工として使われる竹の中で細く、直径わずか2~3㎝ほどの太さ。
根元から湾曲していることと、節が多いことが特徴。
私たちの籠の材料は「根曲がり竹」
笹の仲間に分類されるこの竹は、雪深い土地で育ち、重みに耐えて自然に曲がりながら育ちます。
太くはない。節が多く、曲がっていて扱いづらい。
それでも――いや、それだからこそ、惹かれる。
節の多さは強さの証。
曲がりはしなやかさと個性を生み、根曲竹ならではのつややかな光沢と、野趣あふれる風合いをもたらします。
一本一本が細い竹だからこそ生まれる自然な丸みが暮らしの道具に姿を変えたとき
やさしく素朴なぬくもりを感じさせてくれます。
かごバッグの細部、留め部分にいたるまで根曲竹で仕上げています。
繊維が少なく柔軟性に富んだ若い竹を使うことで、しなやかさと丈夫さを両立。
強くて、あたたかくて、美しい。
手仕事によって命を吹き込まれたかごたちは、自然とともにある暮らしの豊かさをそっと思い出させてくれます。
竹は、草でも木でもない、竹独自の性質を持つ自然素材。
軽くて丈夫、しなやかで力強い竹は、扱いやすく生活の道具や工芸品、住まいの素材、そして食卓にまで姿を変え古くから日本人の暮らしと文化に寄り添ってきました。
竹の成長は驚くほど早く、わずか3ヶ月で親竹と同じ高さまで育ち、3年で資源として活用できるほどに。
世界には約1300種、日本だけでも600種以上の竹があると言われていますが、竹細工として使われてきたのはその中のごく一部なのです。
竹細工の歴史は古く、縄文時代の遺跡からも竹を編んだかごが出土されています。
時代を超えて竹は、暮らしに欠かせない存在であり続けてきました。
竹のもうひとつの特徴は、その独特な"寿命"です。
竹の根は地下茎ともよばれており、同じ場所に生えている竹の根はすべて地下でつながっています。
竹林はもともと1本の竹の根が伸び、次々地表に顔を出したもの。
地上に出るや、わずか2か月ほどで生長しきってしまう。
節の数は地上に出たときから生涯変わらない。
生長点が節のひとつひとつにある竹は、数十の節が同時に生長するということ。
伸びきってしまえば、それ以上太くならないし伸びることもない。
そして、約60年から120年に一度だけ花を咲かせ、その後は枯れてしまう。
一度開花してしまうと、その一帯の竹はすべて枯れ10年程は竹細工の材料として使えないと言われています。
この“いのちのリズム”は、竹・笹ならではの神秘的な性質を持っています。